
Nikon COOLPIX P310レビュー|スマホで十分?実写でわかった魅力と限界
NikonのCOOLPIX P310を実際に使ってみました。コンパクトで明るいレンズを搭載したこのカメラ、果たして今の時代にどれだけの価値があるのでしょうか?スマホがあれば十分…と思っていた私ですが、実際に撮影してみて見えてきたことがいくつかあります。
操作性と携帯性:シンプルで使いやすい
P310の操作は非常にシンプルで直感的。ボタン配置も分かりやすく、初めて手にする人でもすぐに使いこなせる印象です。
ポケットに収まるサイズ感で、街中でのスナップ撮影には最適です。
画質と背景ボケ:期待と現実
F1.8の明るいレンズを搭載しているため、背景ボケを期待していましたが、実際にはそれほどボケませんでした。
特に通常の撮影モードでは被写界深度が深く、背景がはっきりと写ってしまいます。
マクロモードに切り替えて、被写体に寄ることでようやく背景がボケ始めたという印象でした。
これはセンサーサイズが小さいため、F1.8でもフルサイズやAPS-Cと比べてピントが深くなってしまうためです。
スマホとの比較:どちらが優れているか?
最近のスマートフォンは、ソフトウェア処理で背景をぼかすことができます。
P310は光学的に背景をぼかすことが可能ですが、その効果は限定的です。
また、スマホの方が撮影後の編集やSNSでの共有が楽なので、日常の記録にはスマホが便利です。
それでもP310を使う理由
それでも、P310にはスマホにはない魅力もあります。
マニュアル操作が可能で、自分の意図した設定で撮影できるのは大きなメリット。
また、撮影に集中できるという意味では、スマホとは明確に違います。
欲を言えばもう少し望遠できたら…と思いましたが、街中でのスナップには24-100mm相当のズームで十分です。
作例紹介
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- マクロモードで撮影した写真:
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- 街中スナップ写真:
- 望遠端(100mm)で撮影した写真:
P310のスペックと立ち位置:P300との違い、後継機との関係
P310の主なスペック
- 発売:2012年
- センサー:1/2.3型 裏面照射型CMOS(約1600万画素)
- レンズ:24-100mm相当 f/1.8-4.9(光学4.2倍ズーム)
- ISO感度:ISO 100〜3200(拡張で6400)
- 動画撮影:フルHD(1080p)対応
- マニュアル撮影:P/A/S/Mモード対応
- RAW撮影:非対応
P300からの進化ポイント
項目 | P300 | P310 |
---|---|---|
有効画素数 | 約1220万画素 | 約1600万画素 |
GPS | なし | あり(海外モデル) |
ISO感度 | 最大ISO 3200 | 拡張でISO 6400 |
後継機:P330との比較
- RAW撮影対応(←大きな進化)
- GPS搭載(国内版も)
- 画像処理エンジン向上
現在のP310の立ち位置
レトロ感のある高性能コンデジとして、中古で安く手に入るP310は、「ちょっとマニュアル操作を試したい」「スマホとは違う“カメラ”を使ってみたい」人におすすめです。
同時期のライバル機たち:P310はどんなポジション?
Nikon P310は、2012年に登場したモデルですが、実はこの時期、コンパクトデジカメ市場では「高級コンデジ」と呼ばれるジャンルが盛り上がっていました。
同じ時代に登場した代表的な機種には、以下のような名機があります:
- Canon PowerShot S95(2010年8月発売):
コンパクトなボディにRAW対応とコントロールリングを搭載し、マニアにも人気の高いモデル。 - Olympus XZ-1(2011年1月発売):
大型1/1.63型CCDセンサーと明るいZUIKOレンズ、アートフィルターも搭載し、個性派ユーザーに刺さる1台。 - Nikon P310(2012年2月発売):
高画素CMOSとF1.8の明るいレンズ、わかりやすいUIで、万人向けのスナップカメラという立ち位置。
これらのモデルは、いずれもスマートフォンがまだ今ほど強力でなかった時代に「コンパクトだけど写真表現にこだわりたい」というニーズに応えて登場しました。
P310はRAWに非対応だったり、センサーサイズでは他モデルに一歩劣る面もありますが、「気軽さ」や「操作のしやすさ」でバランスの取れた1台です。
中古市場での人気は?
2020年代現在においても、P310はP300やP330よりも中古市場で人気があります。
実際にヤフオクなどのオークションサイトでは、P310の平均落札価格はおよそ16,000円前後とされており、P330の13,000円程度を上回っています。また、一部では状態が良ければ30,000円以上の高値買取がされている例もあります。
これは、P310のバランスの取れた性能(明るいレンズ・操作性・画質)に加えて、外観デザインや取り回しの良さが今なお評価されているためだと考えられます。
P300は画素数や高感度性能の面でやや見劣りし、P330はRAW対応などマニア向けの要素があるものの、逆に「手軽さ」が損なわれている面もあります。
その点P310は、「高性能・簡単操作・適度な価格」のバランスが良く、今でも“使って楽しいコンデジ”として人気が続いていると言えます。
まとめ
Nikon COOLPIX P310は、スマホ全盛の今でも、操作のしやすさと「カメラらしさ」を味わえる1台です。大きなボケや高画質を期待するなら一眼レフの方が向いていますが、「撮る楽しみ」や「コンデジの機動力」を求めるなら、今でも価値のあるモデルだと感じました。